2010年05月

2010年05月31日

東大受験で必要なこと

先週はあちこちの校舎で、
derutoko.com 教材の実物を見せてほしいという要望がありました。
それでふと思ったことがあります。
もしかして最近の受験生は、
ネットにつながるのは携帯だけになってるのでしょうか?
というのは、携帯とパソコンとでは、
でるとこサイトで見えるページが違うからです。
パソコンからなら、各教材の写真や内容が見えるのはもちろん、
音声教材なら音声のサンプルが聴けるし、
映像教材なら映像のサンプルも見ることができるのです。
しかし、携帯用サイトではそれができません。
もっと技術があれば、携帯からでも見やすくできるのかもしれませんが、
超零細企業なので、とてもそんなところに経費を出せないのです。
ブラウザでさえ Internet Explorer に対応するので精一杯です。
Firefox や Google Chrome をお使いの方は、
ご面倒でも Internet Explorer からごらんください。
まあそれを言うなら、Mac パソコンにはまったく対応できてませんね。
Web は規格がバラバラで、正直アタマを抱えているところです。

さて、今日は東大対策についての質問メールを紹介します。

<Mさん>
私は東京大学が志望校です。土地制度史について深めたかったので、今回の注文をさせていただきました。石黒先生はどちらかというと私大試験向けの先生と友人より伺っております。この点でシグロ様におかれましては「石黒先生」と「東大対策」についてお話、その他お奨め商品ございましたらお聞かせ願いたいと存じます。

<石黒>
東大の二次試験対策で必要なことは次の3つです。

(1)深い歴史理解
  教科書に書かれている内容の深い理解です。
  ヘンなウラ話はまったく必要ありませんが、
  単なる用語暗記レベルでは何の役にも立ちません。
(2)歴史事実から推論する力
  ある二つのできごとの関係性について、
  たとえ知らなくても推測して論じることができる力です。
(3)教科書風の文章作成能力
  コンパクトに要点だけを文章化する力です。
  幼稚な表現や的外れな解答は論外です。

derutoko.com には、東大対策に特化した教材はありませんが、
上記の(1)は、
おもに映像教材「でる日講義」シリーズで習得するのが近道です。
(2)も映像教材でかなり養えますが、教科書の熟読は欠かせません。
そのうえで実際に論述問題を解きながら力をつけていってください。
(3)も実戦演習が欠かせませんが、教科書の音読も効果があります。
世の中にはそうして読み上げたフレーズを
ある程度記憶できる人がいます。
この能力に長けていると、東大に受かりやすいわけです。
英語構文を覚えることにも通じているように思います。
そして、derutoko.com の教材には、
『きたえる論述−早稲田・慶應−』という論述問題集がありますが、
東大の問題とは傾向が違っているため、
残念ながらダイレクトに有効というわけではありません。
また、当方のブログには東大対策に関する記事がいくつかありますので、
参考までにご紹介いたします。

東大を狙いたいのですが
東大受験、脅威の勉強法(1)

derutoko at 00:00|Permalinkclip!大学別対策 

2010年05月30日

すでにしゃべり勉強をしていた人

ワセヨビにズームインDVDというシステムがあります。
生授業ではなくDVDで受講するもので、僕が出講しない校舎でも、
講義映像を受講している人たちがいるのです。
生授業の迫力には欠けますが、聴きそびれても戻れるのはもちろん、
一時停止ボタンを何度も押しながら受講できるので、
板書をいきなり清書できるなんて利点もあります。
もちろん最大の長所は、
中途入会でも初回の授業から受講できるところです。
「6月まで部活があって予備校に通えなかった(涙)」
なんて人には最適なシステムです。

さて、今日はそのズームインDVD受講生からの質問を紹介します。

<Aさん>
初めまして。ワセヨビ勝田台校でDVDとらせていただいてます。ライブ授業より1週間くらい遅れてですが、毎週楽しみに受けてます。私は高1のときの学校の授業は世界史だったんですが、テスト勉強するときに、書くのがめんどくさくて【しゃべり勉強】してました。その時はただめんどくて、しゃべってみよう!的な感じだったので、石黒先生の話を聞いて、【しゃべり勉強】っていい勉強方法だったのか!って驚きました。確かに、その学校のテストでは平均50とかのなかで常に90点台でした。もちろん今もやってます。そして。結構前の話のことで1つ質問なんですが、目代と受領の違いって何ですか?どちらも遙任国司の代わりに行く人だと思ったのですが。守や介に限ったのが受領ですか?

<石黒>
しゃべり勉強は無意識にやっている人もけっこういるようですね。
すでに取り入れている人は、
どういう部分をしゃべると効率的なのかがわかっていると思いますので、
ぜひ生かしてください。
目代と受領については、勘違いしているようです。
目代は国司のかわりに任国に派遣される、国司の私的な部下です。
ちなみにその国司は、任国に赴かない国司=遙任国司、と呼ばれます。
一方、受領は任国に赴任する国司のうちの、最上級の国司のことです。
国司の最上級といえば守ですが、
守が赴任しない場合は、その下の介が受領と呼ばれることになります。



通年授業では、入試データにもとづいて用語を説明していますが、
それをいかに短時間で習得できるかで受験の勝敗が決まります。
時間がかかりすぎると、
他教科の学習時間が取れずに撃沈するわけです。
第一志望がMARCH未満の大学の人へのアドバイスなら、
「とにかくなんでもいいから覚えるべし!」で良いのかもしれません。
それこそ一問一答をひたすらやる……というわけです。
しかし、MARCH以上を第一志望に考えるならそうはいきません。
「何を」覚えるか、「何で」覚えるか、にもこだわりたいし、
それを「何時間で」覚えるか、も重要なのです。
そういえば以前、自分の趣味(遊び)の時間を確保するために、
受験勉強の時間をできるだけ縮めていた高卒生・現役生がいました。
二人とも早稲田政経に行きました。
本当にデキル人たちは、作業の処理速度が違うのです。
ため息が出てしまう話ですね。
ときどき、
「今は英語中心に勉強していて、
 日本史は流れだけつかむようにしています」
なんて言っている人がいますが、
2カ年計画の受験生なのでしょうか。
私大文系ならたった3教科ですむのですから、
普通に全教科同時学習をしてください。
厳しさが実感できていない人には「日本史道場」をお勧めします。

2010年05月29日

集え! 日本史道場

先日、ブログの中で「日本史道場」について書いたところ、
すぐさま問い合わせをいただきました。

<Mさん>
本日付のブログ拝見させていただきました。「石黒の日本史道場」にとても興味があるのですが、いつごろ受付をはじめられるのかと気をもんでいます。できるのであれば、受付開始のくわしい日時を教えていただけませんか?(20名限定とのことなので・・・)よろしくお願いします!


木曜日には河合塾藤沢現役館の校舎でも、
別の方から直接質問されました。
やはり「先着20名限定」という点が気になるようです。
大勢の人に受講してもらいたいとも思うのですが、
いかんせん derutoko.com としては初の公開授業なので、
小さいところからじゃないと怖くて始められません。
会場の大きさやテキストの部数の問題もありますし、
とりあえず少ない人数でやらせてください。
名前や志望校を把握したうえで授業をするのも魅力です。
また、模試を実施直後にスタッフが採点して返却するという、
「ハーフサイズ模試」も企画しています。
人数が多かったら間に合いません。

ちなみにすでに模試の問題はできていまして、
制限時間は30分なのに、小問数は30個あります。
センター試験だったら60分で小問数が36個ですから、
ハーフサイズといえども高速で解かないと時間切れになります。
しかも難易度は、センター試験のはるか上なのでより大変です。
もちろん僕はニヤニヤしています。
受験日本史の猛者にはぜひ挑んでもらいたい試験です。
ちなみに、出題範囲は旧石器時代から室町時代までです。
政治史からも文化史からも出題しますし、
選択問題だけでなく、記述問題もあります。
史料問題も、正誤問題も、図版問題も入っています。
未見史料問題も入っていますよ。
ないのは論述問題くらいでしょうか。

何日間もある講習とは違って、1日完結の講座ですから、
地方のかたでも参加しやすいかと思います。
どこかに宿泊する必要がありませんから。
朝10時開始としているのは、
日帰りができるようにと思ってのことです。
昔と違って最近は、長距離夜行バスの運賃もだいぶ安いようです。
よろしかったら受講してみませんか?

というわけで、受付開始は6月6日(日)午前9時の予定です。


日本史道場テキスト

derutoko at 00:00|Permalinkclip!derutoko.com 教材 

2010年05月28日

市販の史料集の弱点(2)

先日紹介した史料は「改新前の世相」という大変マイナーなものでした。
今度はその逆に頻出史料を検証してみましょう。
穴埋め問題が多い「改新の詔」です。
長いので、もっとも有名な最初の2カ条だけ抜粋しますね。
山川出版の『日本史史料集』では、
こんな感じで赤字設定されています。

 其の一に曰く、昔在の天皇等の立てたまへる子代の民、処々の屯倉、及び、別には臣・連・伴造・国造・村首の所有る部曲の民、処々の田荘を罷めよ。仍りて食封を大夫より以上に賜ふこと、各差有らむ。降りて布帛を以て、官人・百姓に賜ふこと、差有らむ。・・・・
 其の二に曰く、初めて京師を修め、畿内・国司・郡司・関塞・斥候・防人・駅馬・伝馬を置き、鈴契を造り、山河を定めよ。(編注:以下略)(日本書紀)

確かに重要部分が赤字になっています。
でもさすがに赤字全部を覚えるのは酷だと思いませんか?
某大学は史料のフレーズをそのまま書かせますが、
いくらなんでもこんな長文を書かせることはありませんよ。
derutoko.com の『どこでも史料問題−史料編−』では、
改新の詔のこの部分は、こんな感じになっています。

『どこでも史料問題』改新の詔
※携帯で閲覧している方のために、角度を変えています。

にょろにょろ下線のところは、
頻度が低いながらも空欄問題が出題された部分です。
赤字部分が答えられるようになったら、
緑マーカーをかけてほしいのです。
よく出るところを優先して覚えるのは、学習法の王道です。

ちなみに「国司・郡司・関塞・斥候・防人・駅馬」にも、
にょろにょろ下線があるのを見てびびりませんか?
いちどきに全部が空欄になったわけではありませんが、
空欄問題が出題されたことがある語句なのです。
「鈴契」なんて、2002年の明治大では記述問題だったのです。
その後、2008年に上智大でも出題されています。

何を信じて学習するべきか、困ってしまいますよね?
というわけで、入試問題のデータを取れば取るほど、
巷に出回っている参考書・問題集を選べなくなってしまうのです。
derutoko.com 教材は、少数生産のため値が張るのが弱点ですが、
合格への最短コースをとっています。
安心してお使いください。

2010年05月27日

南浦和からのメッセージ2010(6)

今週は平氏政権から北条泰時政権までをやりました。

<Tさん>
“奉行”の黒板技すごかったです!

<石黒>
ははは。わかってもらえました?
でも、ちょっと位置がズレてしまいました。
いつもやるんですが、簡単そうで意外とズレるんですよ。


<Sさん>
よりとも政子はすごいと思いました!!

<石黒>
ホントにそうだと思います。
二人がどんな顔してたのかって気になりませんか?
でも、もっとも有名な頼朝の絵はどうも頼朝じゃないっぽいんです。
神護寺所蔵の『源頼朝像』と言われている似絵のことですが、
頼朝ではないという説が強まっているので、
あのイメージで考えてはいけないんですよ。


<Sさん>
「関東御公事」って、何のために払うのですか?(中略)今まで、あやふやだった、守護と地頭が、今回で理解できてよかったです。

<石黒>
幕府のいろんな儀式や寺社の修造などに使います。
臨時で集められることがあったと理解しておいてください。


<Kさん>
謀反と謀叛に違いはありますか?

<石黒>
「謀反」は律令制の八虐の一つで、
天皇の廃位など、国家権力の侵害を計画する罪です。
大犯三箇条に出てきた「謀叛」は、単に主君に背く罪です。


<Tさん>
前回休んでしまったので、友人に聞いたりしてがんばっておいつきます。

<石黒>
日本史は1回の授業で相当進むので、休むと大変なことになります。
がんばってください。


<Kさん>
模試の解き直しをする際、何をすればいいですか?

<石黒>
模試に関してはこちらにいろいろ書いています
ごらんください。


<Sさん>
東大はどんな頭を求めているのですか?

<石黒>
一つには、国家を論じることのできるアタマでしょう。
明治時代に定められた帝国大学令では、第一条に、
「帝国大学ハ国家ノ須要ニ応スル学術技芸ヲ教授シ、
 及其薀奥ヲ攷究スルヲ以テ目的トス」とあります。
東大対策についての記事を数日中にアップする予定です。


<Sさん>
ブログのこと教えていただき、ありがとうございます。がんばります。

<石黒>
これだけ情報化社会になっているのですから、受験も同じです。
しかも、このブログやでるとこサイトでは、
日本史受験のノウハウをかなり公開してしまっています。
ぜひお読みください。

derutoko at 00:00|Permalinkclip!

2010年05月26日

模試で8割ってどうですか?

早稲田予備校では毎月、
「アチーブメントテスト」という校内模試を行っています。
問題と解説はすべて僕が用意したもので、
難易度は普通の全国模試よりやや上となっています。
実際のMARCHレベルの入試を意識した難易度というわけです。
ゆえに、MARCHが第一志望の人には最低7割5分、
早慶上智が第一志望の人には、
最低9割を得点してほしいと思っています。
さて、その5月の試験について、こんなメールをいただきました。

<Xさん>
こんにちは。(中略)重要な第1回目のアチーブメントテスト早速自己採点したので一応報告と質問をさせていただきます(笑)結果から言うと80点でした。(中略)4点落としました。今回は小さいミスをなくそうと思って臨んだのに自分の甘さには嫌気がさしました。その他は単に自分の力不足でしたので復習します。ブログにも書いてあったようにこのアチーブは甘い問題はないけど授業でやったことをしっかり定着させていれば100点は取れる問題だと実感しました。きっと先生の授業を受けずにこのテストを受けていたら悲惨な点だったと思いました。先生の授業を受けた成果というのが少しですが感じられた気がします。先生的にも90〜満点を取ってほしかったんじゃないかと想像しています(笑)ですので今回は自分的には不合格点ですが先生的には80点というのはいいスタートをきれたと言ってもいいのでしょうか?(後略。編注:ここには校舎で聞いたぬるい人たちの話が書いてありました)

<石黒>
アチーブで8割というのは、どの大学を第一志望としているかと、
英語・国語が得意かどうかで評価がかわります。
まず早稲田・慶應を考えているなら、
やはり90点台を取るべきでしょう。
一方、英語・国語が得意なら、
日本史は80点台でもなんとかなるかもしれません。
9割という高い正解率を求める理由は、
アチーブは狭い範囲の試験ですから、きちんと学習すれば
誰でも高得点が取れるはずだからです。
そして本当に早慶大に合格するためには、
その記憶を来年の2月まで持たせなければなりません。
早慶大合格の本当の分かれ目は、まだこの先にあるわけです。
そういう意味では、
アチーブは早慶大合格までのステップの一つにすぎません。
できるだけ高い点数を取ってほしいと思います。
それから、予備校にはいろんな人がいるものです。
残念ながらモチベーションの低い人もいます。
先日も、去年ある生徒が自習室で携帯ゲームばかりやってた、
なんて話を聞いたばかりです。
「他人のフリ見て我がフリ直せ」という教訓にすべきでしょう。
早稲田の中でも上位学部に受かる人たちは、志が全然違います。
学習時間にしても模試の結果にしても、
「標準」と考えているレベルが普通の人よりはるか上なのです。



うちのスタッフに、親戚一族が医者ばかりという人がいます。
そんな中に育つと、いくら早慶に受かっても、
文学部じゃ誉めてもらえないんだそうです。
医学部にくらべれば受かって当然だと……。
僕から見れば、早慶上智って言うだけで「スゴイ」ことなんですが、
当の本人は「私、落ちこぼれなんで……」と卑下しています。
どのレベルを「標準」とみなすかで、全然感覚が違うものです。
ぬるま湯につかっていては、なかなか上にあがれませんよ。
地方の受験生は、まわりにスゴイ人がなかなかいないでしょうから、
かなり意識的にハードルを高くしなければなりません。

そこで、7月18日に『石黒の日本史道場』と題した講座を行います。
一日中、日本史漬けになって日本史アタマを鍛えてみませんか?
場所は、高田馬場の専門学校の教室です。
予備校の夏期講習とはひと味ちがう、もりだくさんの内容で、
募集人数は先着20名限定の予定です。
今後、こちらのページで講座の詳しい内容を紹介していきますので、
楽しみにしていてください。

2010年05月25日

市販の史料集の弱点(1)

昨日に引きつづき、今日も問題集についての話です。

みなさんの高校では、史料集に何をつかっていますか?
写真や地図などの「資」料集(図説)ではなく、
昔の史料文とその口語訳を収録している「史」料集の方です。
最近、第一学習社の『新日本史史料集成』が広まりつつありますが、
通算販売部数で言えば、たぶん、
山川出版の『日本史史料集』が1位だと思います。

先日、ある現役生から、
史料対策にこの山川の史料集を使うのはどうですか?
と聞かれました。
絶対ダメってことはないのですが、
致命的な弱点を把握したうえで使うべきです。
それは史料中の「赤字」です。

たとえば、こちらを見てください。

●改新前の世相
 (大化元年九月)甲申、使者を諸国に遣はして、民の元数を録す。仍りて詔して曰く、「古より以降、天皇の時毎に、代の民を置き標して、名を後に垂る。其れ臣連等・伴造・国造、各己が民を置きて、情の恣に駈使ふ。又、国県の山海・林野・池田を割りて、己が財として、争ひ戦ふこと已まず。或は数万頃の田を兼ね并す。或は全ら容針少地も無し。調賦を進る時に、其の臣連・伴造等、先づ自ら収め斂りて、然して後に分ち進る。(編注:以下略)(日本書紀)



受験生はこれを見て赤字を覚えるのでしょうか?
でも赤シートを使ったら、これがすべて消えてしまうんですよ。
ま、まさか、バカ正直にこの赤字を全部覚える人はいませんよねえ?
いや、何も知らない真面目な受験生だったら……、
ちょっと心配になってきました。
普通の史料問題で空欄になるのは、一文ではなく、一つの語句です。
さらに真実を伝えてしまうと、
この史料、赤字どころか史料そのものがめったに出ないのです。
わずかな出題例として2003年の上智大がありますが、
「天皇の時毎に、(  )の民を置き」
と空欄穴埋め問題が選択形式で出題されただけです。
そして選択肢には「代」はなく、「名代」を選ばせていました。
しかもダミーに「子代」がないため、そこで悩むこともありません。
ってことは、ちょっと考えるだけで正解できるじゃありませんか。

参考書の赤字を鵜呑みにするのが危険だということが、
少しはわかっていただけたのではないでしょうか?

2010年05月24日

悩ましい問題集選び

先日、ある現役生から、
「市販されている問題集で、良いものはありませんか?」
と聞かれたのですが、
「市販」という条件下では挙げられませんでした。
何も知らない受験生や先生だったら、
知名度やブランドで、気楽に問題集を選べるでしょうが、
当方は細かい出題率などを知ってしまっているため、
どうしても欠点が目についてしまうのです。
もっと大らかな気持ちで見てあげれば良いのかもしれませんね。
でも今は、自分で責任をもって作った問題集があるので、
とてもそんな気持ちにはなれません。

問題演習については、こんな質問メールもいただいています。

<Tさん>
お疲れ様です。ワセヨビでお世話になっているTです。問題演習について質問させてください。予備校が始まって1ヶ月になりますが、ようやく日本史勉強のペースが掴めてきました。40面ノート、しゃべり勉強、ワシづかんで覚えることの凄さを実感しています。しかし、このような素晴らしい定着法を先生に提示して頂いても、自分で実際に問題を解いて頭をフル回転しないと、早慶レベルには届かないと思っています。自分は"日本史事始""どこでも史料問題問題編""でる日とことん文化史"の他に、「全国大学入試問題正解」の巻末に付いている"内容別問題一覧"を参考に様々な大学の過去問を解いています。早稲田の過去問も6月に入ってから取り組もうと思っています。問題演習はこんな感じで大丈夫でしょうか?ご指摘やアドバイスがありましたら、お願いします。今年は石黒先生の通年授業を受けているので、日本史を武器にしたいと思っています。お忙しいとは思いますが、宜しくお願いします。

<石黒>
なかなかお勧めできる問題集がなく申しわけありません。
また derutoko.com 教材を使ってくださりありがとうございます。
そしてそれらを使ってくださっているなら、
『あるある正誤問題』もお勧めします。
これは定番の正誤問題をクリアするための、
センター試験向けの問題集で、難関私大向けではありません。
しかしこのレベルがマスターできていなければ、
早稲田の正誤問題には刃が立ちません。
一方、そのくらいのレベルはできているというなら、
逆にかなりハイレベルな問題が入っている
『難関大用語集解』をお勧めします。
こちらは「でるとこ日本史プラス」で追加している
Dランク用語を中心に解説している参考書です。
実際の問題がついているため、出題例がよくわかるようになっており、
解答へのプロセスも丁寧に説明してあります。
講師室に来てくれればサンプルをお見せします。
それから『全国大学入試問題正解』には、
解説がまったくついていないので、
普通の受験生は使いにくいでしょう。
あれは講師向けの問題集です。
しかも解答に間違いが多いところも危険です。
解答に疑問を感じたら鵜呑みにせず、
自分で調べたり質問したりしてください。
そういう意味では赤本の方がまだ使いやすいでしょう。
第1〜3志望大学の過去問から、
履修済み部分の大問を探して解いていくわけです。
MARCHあたりの問題なら、早稲田より解きやすい問題も多いですよ。

<Tさん>
お返事ありがとうございます。全国大学入試問題正解は、現役の時に偶然本屋で見つけて買ったんです。後から、予備校や学校の先生用のネタ本だと知って、ビックリしたのを覚えています。先生用のネタ本だから信用できると思い、ずーっと使っていたのですがショックです...先生のおっしゃる通り、MARCHや早稲田の赤本から習った部分をピックアップして、コツコツやっていこうと思います。あるある正誤問題、難関大用語集解も以前から気になっていました。難関大用語集解は親に交渉している最中です(笑)是非、サンプルを見させてください。これから赤本の問題について質問する機会があると思いますが、その時も宜しくお願いします。ありがとうございました!



旺文社の『全国入試問題正解』の解答と赤本の解答は、
ズレている箇所がたくさんあります。
毎年、いちいち比較してチェックしているのです。
そして、赤本が正しいこともあれば、
旺文社の方が正しいこともありますし、
どちらも誤っていることもあります。
いずれにしても解説がない問題集を受験生がやる意味はありません。
もっと効率の良い環境で学習したいと思いませんか?

2010年05月23日

日本史のノートってどう作る?

歴史では、特定のできごとが
「いつ」「誰」の政権下のことなのかが重要です。
しかし、受験生はとかく用語暗記にばかり走りがちです。
日本史用語を英単語や古文単語の暗記の延長と、
とらえているんじゃないでしょうか?
しかし、あくまでも歴史なのですから、
「いつ」のできごとかを把握しながら用語を覚えるべきなのです。
そのためには単語帳的なもので覚えるのではなく、
時期ごとに整理したまとめを使うべきです。

しかし、何で区切るかは出題状況を知っていなければできません。
たとえば、何世紀かがわかっていれば入試が解けるのか、
いや、何月何日までわかっていなければならないのか……。
大雑把に言うと、近現代は内閣ごとに整理するのが基本です。
江戸時代なら将軍ごとに整理するものです。
じゃあ、鎌倉時代や室町時代はどうでしょう?
鎌倉時代は将軍ごと? いや執権ごとです。
室町時代は将軍ごとですが、
ある時期からはその区切も必要なくなります。
なんでもかんでも時の将軍が問われるわけではないのです。
じゃあ、奈良時代はどうでしょう?
藤原不比等・長屋王などの政権担当者ごとですか?
それとも天皇ごとですか?
なんと面倒なことに、政権担当者が問われることもあれば、
天皇が問われることもあります。
さらには両方問われることもあります。
それゆえ通年授業で作成している「40面ノート」では、
どちらが問われても瞬時に解けるような構成をとっています。
さすがに講師が作るノートなので、
ただの年表や、単純な箇条書きのまとめではないってことです。
最近、東大合格者のノートがもてはやされているようですが、
彼らのノートとは違って、出題されないことは書いていないし、
そのまま入試に役立つ、記憶定着率の高い形をとっています。
プロなのですからあたりまえですね。
もちろん、高校生であれだけのノートを作れるというのは、
スゴイことですよ。
ただ、念のためお伝えしますが、
あれを真似してノートづくりに励んでも、
成績が飛躍的に上がるわけではありません。
東大に受かるなんて夢のまた夢です。
彼らの本当にすごいところは、
あのまとめを「短時間で」作ることができた点にあるのです。
それができないなら、まとめは既製品に頼った方が早いです。

さて、40面ノートについてワセヨビ生から質問がありました。

<Gさん>
先生。こんにちわ。さっそく質問なんですが、6番ページのプリント枠の箇所の東北経営の出来事は、政権担当者も意識して暗記、勉強するべきなのでしょうか?特に授業中、御指摘が無かったので必要ないのかとは思ったのですが気になってメールさせて頂きました。お暇な時にお返事頂ければ結構ですので、宜しいお願いします。

<石黒>
なかなか鋭い質問ですね。
何しろ、東北関連でも○○(編注:伏せさせていただきます)だけは、
枠内に書きましたからね。
でも、他は気にする必要はありません。
当然意識して、枠内と枠外に分けてあります。
ただし、入試本番で政権や天皇が問われた場合、
年代がヒントとなって考えさせられる可能性はあります。
でもそのときに考えれば十分です。

2010年05月22日

藤沢での文化史特別講座(再)

難関大の文化史の出題水準については、
このブログでも何度か書いていますが、
ストーリー性の高い政治史にくらべ、
文化史はなかなか覚えられないという人もいると思います。
「文化史」というと、
用語の単純暗記というイメージがあるかもしれませんが、
政治史と切り離して理解するのは、実は非常に効率が悪いのです。
『でる日講義−とことん文化史−』では、
そんな文化史を政治史と関連づけながら講義しています。
文化史だって、理解しながらだったら覚えやすいはずです。

こちらの記事で、
教材を実際にお使いいただいた方からのメッセージを紹介しています。


藤沢での文化史特別講座
(携帯でご覧の方はこちらからどうぞ。)

石黒拡親
石黒拡親

愛知県出身。1990年、東京学芸大学教育学部卒業。早稲田予備校・河合塾講師。
入試問題分析を20年続けてデータ化し、2万の用語の出題率を取っている。
「ウソはったりのない、入試に直結する講義」を強くこころざし、受験生には「考える力をもってもらいたい」と強く願う。

derutoko
Official Site
●PCサイト
  でるとこ攻略日本史
 www.derutoko.com

●モバイルサイト
 でるとこ攻略日本史モバイル
 www.derutoko.com/mobile

 モバイルサイトのアドレスを
 携帯にメールで送る


●お問い合わせ
 お問い合わせ
※メールの件名(Subject)に、
 必ず氏名を明記してください。
※迷惑メール対策の設定を
 されている方は、
 指定受信リスト
 上記のメールアドレスを
 登録してください。
※いただいたメールは、ブログや
 サイトで紹介させていただくこと
 があります。